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後発品の割合を上げたいのに、現場が全然乗ってきてくれません。

後発品に変えましょう、と言ったとたんに空気が重くなった。そんな経験はありませんか?
実は私も、薬局長になってすぐに同じ失敗をしています。言い方を変えたのではなく、順番を変えたら、同じお願いが通るようになりました。
この記事では、後発医薬品調剤体制加算が2026年度改定でどうなったかと、現場の反対を乗り越えた私の進め方が分かります。点数と要件は、厚生労働省の資料で確かめられたものだけを載せています。
結論:お願いの前に「関係」を作る
先に答えを言います。後発品を進めるのに要るのは、説得の上手さより「この人のお願いなら聞こう」と思ってもらえる関係です。
そしてもう1つ。後発医薬品調剤体制加算という名前の加算は、2026年6月から点数表にありません。今は新しい加算の条件の1つになっています。
| 押さえること | 中身 |
|---|---|
| 制度 | 後発医薬品調剤体制加算は削除。地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合 |
| 後発品の割合 | 新しい加算1の条件として85%以上 |
| 進め方 | 先に現場の「面倒くさい」を拾い、関係ができてから頼む |
出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版)p.21(2026年11月6日閲覧)
制度の話を先に、私の失敗と再挑戦の話を後にします。
後発医薬品調剤体制加算は2026年度改定でどうなったか
2026年度改定で、後発医薬品調剤体制加算は削除されました。地域支援体制加算とまとめられ、「地域支援・医薬品供給対応体制加算」が新しくできています。
理由として資料には、後発品の使用は定着しつつあると書かれています。一方で、薬の供給が不安定なせいで、薬局に追加の仕事が出ていることも挙げられています。だから、薬を安定して届ける体制を新しく評価する、という流れです。
出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版)p.10・p.21(2026年11月6日閲覧)
改定前の点数は、次のとおりでした。今はこの点数では算定しません。
| 改定前の区分 | 後発品の割合 | 点数 |
|---|---|---|
| 加算1 | 80%以上 | 21点 |
| 加算2 | 85%以上 | 28点 |
| 加算3 | 90%以上 | 30点 |
出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版)p.21「現行」欄(2026年11月6日閲覧)

前に届け出ていた薬局は、いきなり条件を満たさなくなるんですか?


経過の扱いがあります。令和8年3月31日に届け出ていた薬局は、令和9年5月31日まで、後発品の割合の条件を満たしているとみなされます。
この経過措置の対象は、後発医薬品調剤体制加算1・2・3を届け出ていた薬局です。期限の後は、実績で85%以上が要ります。
出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版)p.22〔経過措置〕(2026年11月6日閲覧)
新しい加算で、後発品の割合はどう扱われるか
新しい加算は、調剤基本料の注5に置かれています。点数は加算1が27点、2が59点、3が67点、4が37点、5が59点です。
出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」別表第三 調剤報酬点数表 区分00 注5(令和8年厚生労働省告示第69号・令和8年3月5日・2026年11月6日閲覧)
加算1は、医薬品の安定供給の条件だけを満たす薬局の区分です。加算2〜5は、旧・地域支援体制加算1〜4の条件と、加算1の条件の両方が要ります。つまり、後発品85%以上は、どの区分でも土台になる条件です。
出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版)p.21・p.22(2026年11月6日閲覧)
あなたの薬局は、改定の前にどの区分を届け出ていましたか?
加算1の主な条件を、資料からまとめると次のとおりです。
- 後発品のある先発品と後発品を合わせた量のうち、後発品が85%以上
- 計画的に薬を仕入れ、在庫を管理している
- 他の薬局へ薬を分けた実績がある(同じグループの薬局は数えない)
- 薬が手に入りにくい時は、在庫のある薬局を探して紹介するか、処方医に変更を問い合わせる
- 重要供給確保医薬品を1か月分ほど備蓄するよう努める
- 原則として、薬1つずつの値段で卸と交渉している(単品単価交渉)
- 卸に、回数の多い配送や急ぎの配送を頼みすぎない
出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版)p.21・p.22(2026年11月6日閲覧)

他の薬局へ薬を分けた時は、伝票などの記録を2年間残します。分けた実績も条件なので、記録の置き場所は先に決めておくと楽です。
出典:厚生労働省保険局医療課医療指導監査室「保険調剤の理解のために(令和8年度)」(令和8年度当初の時点の内容・2026年11月6日閲覧)
後発品の割合が低い薬局には、調剤基本料から5点を引く仕組み(後発医薬品減算)もあります。処方箋の受付が月600回以下の薬局は対象外です。何%で対象になるかは、施設基準の告示と通知で確かめてください。
出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」別表第三 調剤報酬点数表 区分00 注8(令和8年厚生労働省告示第69号・令和8年3月5日・2026年11月6日閲覧)
改定全体の流れは「2026年度調剤報酬改定のポイント」にまとめています。
私の失敗:就任してすぐ「みんなで推進しよう」と言った
ここからは私の話です。私は新卒1年目で、いきなり管理薬剤師になりました。
最初に利益を上げるために選んだのが、後発医薬品調剤体制加算でした。処方箋1枚ごとに付く加算なので、効率がいいと考えたからです。
それで就任してすぐ、スタッフの前でこう言いました。「みんなで後発医薬品の推進をしていきましょう!」
返ってきたのは、反対の言葉ばかりでした。
- これ以上、仕事を増やさないでください
- 後発品に変えると、ミスが増えるからやりたくない
- まずは仕事を覚えることからしたらどうですか
正しいことを言っているのに、どうして反対されるんでしょう?


信頼がゼロの新人が、仕事を増やす話をしたからです。中身より先に「誰が言うか」で聞かれていました。
正直に言うと、かなりへこみました。面倒くさいという空気が店全体を包んでいて、私のやりたいことは出だしでつまずいたんです。

今ふり返ると、反対の言葉には全部、筋が通っていました。忙しい店で変更が増えれば、仕事もミスの心配も増えます。反対は「わがまま」ではなく、現場の負担のサインでした。
再挑戦:「面倒くさい」を拾ってから、もう一度頼んだ
そこで私は、後発品の話をいったん引っ込めました。代わりに、誰もやりたがらない面倒な仕事を拾うことにしたんです。
やったことは、主に次の3つです。
- 待合室でクレームの声がしたら、誰より先にカウンターへ出て、スタッフを守る盾になる
- 事務スタッフの仕事の腕を本気で尊敬して、頼るべき所は頼る
- 最後の責任は管理者の自分が取る、と行動で見せる
ちなみに、レジ締めや掃除を手伝おうとしたら止められました。「私たちの仕事がなくなります」と(笑)。拾うべきだったのは雑用ではなく、人間関係のこすれでした。
関係づくりって、どれくらい時間がかかるものなんですか?


私の場合は、面倒くさいを拾い続けるうちに、店の空気が少しずつやわらいでいきました。何か月とは言い切れません。
店の空気が変わり、事務スタッフと薬剤師の連携がスムーズになりました。そのタイミングで、最初に失敗した後発加算にもう一度取り組んだんです。
今度は、前に反対されたお願いを受け入れてもらえました。結果、月に約50万円の利益アップにつながりました。当時の加算2(22点)での話です。
22点は、私が算定した当時の点数です。今の点数は前の節を見てください

同じ頃、期限切れで捨てるしかなかった在庫も洗い出しました。他の店舗と融通し合い、廃棄を減らしています。
失敗から分かったこと
- 正しいお願いでも、信頼の前だと通りにくい
- 反対の言葉は、現場の負担を教えてくれる
- 先に負担を減らすと、同じお願いが通りやすくなる
職場の人間関係を立て直した話は「人間関係が悪い薬局」でも書いています。
現場の反対を乗り越える進め方:今日からできること
ここからは、私の経験をもとにした進め方です。あなたの薬局で今、いちばん大きい反対の声はどれですか?
反対の声は、中身で分けると対応しやすくなります。
| 反対の声 | 裏にある気持ち | 先にできること |
|---|---|---|
| 仕事を増やさないで | もう手一杯 | 自分が負担を引き取る。手が空く仕組みを先に作る |
| ミスが増えそう | 患者さんに迷惑をかけたくない | 変更の手順と確かめ方を一緒に決める |
| まず仕事を覚えて | 言っている人を信頼していない | お願いを急がず、行動で信頼を積む |
そのうえで、次の順番で進めるとぶつかりにくくなります。
- いきなり全体に呼びかけず、まず現場の困りごとを聞いて回る
- 自分にできる困りごとを引き取る
- 店の空気が落ち着いてから、後発品の話を出す
- 頼む時は、なぜ要るのかと、増える手間をどう減らすかを一緒に話す
- 進んだら、協力してくれた人にお礼を伝える
上から「やれ」と言われている場合でも、同じ順番でいいんですか?


私はそう思います。会社の方針でも、現場が動かなければ数字は動きません。急がば回れでした。
ただ、これは私の店での経験です。店の大きさや人の数で、合うやり方は変わります。あなたの店の様子に合わせて、順番だけ借りてください。

数字の話をする時は、「何点取れるか」より「どんな体制が求められているか」から入るのがおすすめです。点数は体制を整えた結果としてついてくるもの、と私は考えています。
自分の薬局の届出と条件を確かめる手順
新しい加算の条件は、原本で確かめるのがいちばん確実です。次の手順で開けます。
- 「令和8年度診療報酬改定について 厚生労働省」で検索し、厚生労働省のページを開く
- 「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」を開き、command+F か Ctrl+F で「後発医薬品」と探す
- 同じページの「告示」の欄で点数表を開き、「注5」を探す
- 条件の細かい数え方は「通知」の欄の留意事項通知で、「地域支援・医薬品供給対応体制加算」と探す
自分の薬局が何を届け出ているかは、次の手順で見られます。
- 「関東信越厚生局 施設基準 届出受理状況」のように、地域の厚生局の名前で検索する
- 都道府県ごとの名簿のファイルを開く
- command+F か Ctrl+F で薬局名を探す
厚生局は北海道・東北・関東信越・東海北陸・近畿・中国四国・九州の7つです。四国の4県は四国厚生支局、沖縄県は九州厚生局沖縄事務所のページに載っています。
届出の実績は、後発品の割合なら直近3か月で見ます。続けて算定する場合は毎年5月に判断し、6月1日から翌年5月末まで当てはめる扱いです。
出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版)p.58(2026年11月6日閲覧)
よくある質問
後発医薬品調剤体制加算は、もう算定できないのですか?
その名前の加算は、2026年6月から点数表にありません。後発品の割合85%以上は、新しい地域支援・医薬品供給対応体制加算の条件になっています。
出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版)p.21(2026年11月6日閲覧)
前に届け出ていた薬局は、何か手続きが要りますか?
新しい加算を算定するには、地方厚生局への届出が要ります。令和8年6月1日から算定するための届出は、5月7日から6月1日までの期間でした。今の扱いは、管轄の厚生局のページで確かめてください。
出典:北海道厚生局「令和8年度診療(調剤)報酬改定及び訪問看護療養費改定に伴う関連資料等について」(2026年9月14日更新・2026年11月6日閲覧)
現場がどうしても乗ってこない時は?
お願いを一度止めて、現場の困りごとを聞くところからやり直すのも手です。私は、それで同じお願いが通るようになりました。
まとめ:制度は原本で、現場は関係から
後発医薬品調剤体制加算は、2026年度改定で地域支援・医薬品供給対応体制加算に統合されました。後発品の割合は、今はその土台の条件です。
- 点数と条件は、告示と概要資料で確かめる
- 前に届け出ていた薬局は、令和9年5月31日までの経過措置がある
- 現場の反対は、負担のサインとして受け止める
- お願いの前に、面倒くさいを拾って関係を作る
後発品を進める力は、説得の上手さより、日ごろの信頼から生まれます。
今日できることを1つ挙げるなら、スタッフに「今いちばん面倒な仕事は何ですか?」と聞いてみることです。そこから、次のお願いの通り方が変わってきます。
