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有給、もう何年も取ってない…。この職場が普通なのかな?

「有給取ってもいいけど、評価は下がるよ?」
薬局長(管理薬剤師)として1社目の薬局を任されていた頃、当時の役員に言われた言葉です。その薬局では、誰も有給を取ったことがありませんでした。
この記事では、残業が多い薬局を求人票・見学・面接で見分ける方法が分かります。今の職場で有給を取りやすくするためにできることも、私の経験から書きます。
結論:残業の多さは「休みの回し方」に出る
求人票の「残業少なめ」を信じて入ったのに、話が違った。そんな経験はありませんか?
先に結論です。残業が多い薬局は、たいてい休みの回し方にも無理があります。人の余裕がないので、休む人の穴を埋められないからです。
だから見るのは、求人票の「残業少なめ」という言葉ではありません。休む人が出た日に、誰がどう回すのかを確かめます。
見分ける3つの場所
- 求人票:残業の時間と、有給の取り方が数字で書いてあるか
- 見学:閉店前と昼の時間に、薬剤師がどう動いているか
- 面接:去年、実際に何日休めたかを答えられるか
でも、薬局ってどこも忙しいんじゃないですか?


忙しさはどこにもあります。違うのは、忙しい日に休める仕組みがあるかどうかです。
誰も有給を取らない薬局で、私が先に休んだ話
ここからは、私が実際に経験した話です。
1社目の薬局は、グループで一番売上の高い店舗でした。休みが要る時は、有給ではなく貯めた代休で休んでいたスタッフもいました。有給を取ったことがある人は、いませんでした。
あなたの職場にも、「有給は使わないもの」という空気はありませんか?
「評価は下がるよ」と言われても、先に取った
体制を変えようとした時に言われたのが、冒頭の役員の言葉です。正直、驚きました。
それでも私は、薬局長の自分から先に有給を取りました。後から振り返ると、休めなかった理由は気持ちの問題が大きかったのだと思います。
すると、ほかのスタッフも少しずつ休むようになりました。お互いに日をずらして、譲り合いながらです。

足りなかったのは人より「休んでいい空気」だった
あるスタッフからは「今まで代休を貯めて休んでいました。有給を取って大丈夫なんですか?」と聞かれました。怖がっている声でした。
その時は、何とも言えない気持ちになりました。休めなかった理由は、仕事の量だけではなかったんです。「休んでいい」と誰も言わなかったことが大きかったのだと思います。
上の人が休まないと、たしかに言い出しにくいです…。


上の人が休まないと、下の人は休みにくいです。だから私は、まず自分が休むところから始めました。
正直に言うと、その後は私が休めなかった
格好いい話で終わらせたくないので、続きも書きます。
その後、3年目の冬に連鎖退職が起き、店舗の薬剤師は私1人になりました。昼休みも取れないまま、1人で現場を回し続ける日々でした。
結局、私は退職する時に有給どころか、貯まった代休すら使い切れませんでした(笑)
この経験から言えるのは、休める空気は大事でも、それだけでは足りないということです。人の数に余裕がないと、休みは続きません。だから職場選びでは、空気と人の数の両方を見てほしいのです。
残業と有給の「法律の線」を知っておく
見分ける前に、基準になる線を知っておくと迷いにくくなります。ここは厚生労働省の公式ページに書かれていることです。
残業の上限は、原則「月45時間・年360時間」
法律で決まった労働時間は、原則1日8時間・週40時間です(働く人が10人未満の小さな薬局などは、週44時間の特例があります)。これを超えて働かせるには、会社と働く人の代表が残業の約束(36協定)を書面で結び、労働基準監督署に届け出ます。
残業には上限もあります。原則は月45時間・年360時間で、臨時的な特別の事情がなければ超えられません。
| 項目 | 上限 |
|---|---|
| 原則 | 月45時間・年360時間 |
| 特別な事情があり合意した場合の年間 | 年720時間以内 |
| 同じく、複数月の平均(休日労働を含む) | 80時間以内 |
| 同じく、1か月(休日労働を含む) | 100時間未満 |
出典:厚生労働省「働き方改革特設サイト 時間外労働の上限規制」(2026年10月29日閲覧)

残業代の上乗せも決まっています。残業は25%以上、月60時間を超える残業は50%以上です。中小企業も2023年4月1日から50%の対象になりました。
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件 時間外・休日労働と割増賃金」(2026年10月29日閲覧)
有給は「取らせる義務」がある
有給休暇は、雇われてから6か月続けて働き、出勤すべき日の8割以上出勤するともらえます。最初は10日で、勤めた年数に応じて増え、最大20日です。使わないと2年で消えます。
そして2019年4月から、有給が年10日以上ある人には、会社が毎年5日を確実に取らせることになりました。会社は一人ひとりの「年次有給休暇管理簿」を作り、3年間保存します。
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件 年次有給休暇」、厚生労働省「働き方改革特設サイト 年次有給休暇の時季指定」(いずれも2026年10月29日閲覧)

「有給を取ると評価が下がる」は、法律の上では問題になりうる
「評価が下がる」って言われたら、もう取れないですよね…。

厚生労働省のQ&Aでは、有給を取ったことで査定をマイナスにするのは「問題です」と答えています。労働基準法の附則第136条で、有給を取った人の賃金を減らしたり、不利益に扱ったりしないよう定められているためです。
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「年次有給休暇をとると査定でマイナス評価にされるのは、問題でしょうか?」(2026年10月29日閲覧)
私が言われた言葉も、今思えば法律の上で問題になりうる発言でした。ただ、個別の職場が違法かどうかは、事情を見ないと決められません。気になる場合は、労働基準監督署などに相談してください。
相談先は、厚生労働省のサイトで探せます。「労働基準監督署 所在地」で検索し、厚生労働省の「全国労働基準監督署の所在案内」のページを開いて、都道府県から選びます。
薬剤師の残業時間の平均は、自分で調べられる
薬剤師の残業時間の平均は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」に職種別で出ています。数字は毎年変わるので、この記事では書きません。読む時点の最新の数字を、次の手順で見てください。
- 「賃金構造基本統計調査 職種別 e-Stat」で検索する
- 政府の統計の窓口(e-Stat)のページを開き、最新の年の「職種」の表を選ぶ
- 表の中で command+F(Windows は Ctrl+F)を押し、「薬剤師」を探す
- 「超過実労働時間数」の列が、決まった時間(所定内)を超えて働いた時間です
平均は、全体をならした数字です。あなたの今の残業が平均より少なくても、休めていなければつらいですよね。数字は、自分の職場を見直すきっかけとして使ってください。
平均より少なくても、しんどい時はしんどいです。


その感覚は大事です。残業の時間と、休めているかどうかは、分けて見てください。
残業が多い薬局を見分けるチェックリスト
ここからは、転職の前に確かめられることです。私は管理薬剤師のほかに、人事として薬剤師の採用面接も担当していました。ここで挙げるのは、入る前に確かめておくと後で困りにくいことです。

求人票で見ること
- 残業の時間が「月〇時間程度」と数字で書いてあるか(「少なめ」だけなら面接で聞く)
- みなし残業(固定残業代)が含まれているか、何時間分か
- 有給の取りやすさが、実際の取得日数で書いてあるか
- 処方箋の枚数と薬剤師の人数が書いてあるか
人数の見方は、一人薬剤師の職場の見分け方で詳しく書いています。
見学で見ること
見学は、できれば閉店の少し前に行けると、残業の様子が分かりやすくなります。閉店後も薬歴(服薬の記録)を書き続ける人が多いなら、残業が出やすい職場かもしれません。
昼の時間に、交代で休憩に入れているかも見てください。休憩が回らない店舗は、有給の日も回しにくいかもしれません。
面接で聞くこと
| 聞くこと | 見ているところ |
|---|---|
| 去年、薬剤師は平均で何日有給を取れましたか? | 数字で答えられるか |
| 誰かが急に休んだ日は、どう回していますか? | ヘルプの仕組みがあるか |
| 土曜や閉店後の残業は、どう払われていますか? | 残業代の扱いがはっきりしているか |
有給は会社が管理簿を作ることになっているので、取れている職場なら答えやすい質問です。答えがあいまいなら、入る前に条件を確かめておきたいところです。
自分で聞きにくい時は、担当者が付くタイプの転職サービスに確認を頼む方法もあります。例えば薬キャリAGENTやマイナビ薬剤師のような薬剤師専門のところです。どこまで確認してもらえるかは、会社や求人によって違います。
条件は、先に握っておく
これは2社目での話です。私は「土日休み」の条件で声をかけてもらいました。ただ、会社が取りたい加算には土曜の開局が必要でした。
そこで土曜に出る前に、「私が中心になって加算を取ります。その代わり、土曜に出た分は別に残業代を払ってください」と約束してもらいました。残業の扱いは、働いた後より働く前の方が話しやすいです。
後から文句を言うのではなく、先に相手の得を約束したうえで、自分の条件を決めておく。それが私のやり方でした。
今の職場で有給を取りやすくするには
転職の前に、今の職場でできることもあります。1社目の経験と、そこから考えたことをもとに、手順にするとこうなります。
- 上の立場の人が先に休む(休んでいいという合図になる)
- 休む日を早めに出して、みんなで日をずらす
- 自分しか分からない仕事を減らし、誰でも分かる形に残す
3つ目は、1社目で処方せんのコピーに注意点を書き込む仕組みを作った経験からです。書いて残すと、新しい人も早く覚えられました。人の代わりがききやすくなると、休む人が出ても回しやすくなります。
今日からできること
- 去年の自分の有給の取得日数を、給与明細や勤怠で数えてみる
- 次に休みたい日を1日決めて、早めに伝える
あなたの職場で、最後に薬局長が休んだのはいつですか? あなたが薬局長なら、まず自分の休みを予定表に入れてみてください。それだけで、周りの言い出しやすさは変わります。
よくある質問
薬剤師の残業時間の平均はどのくらいですか?
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」に、職種別の数字が毎年出ています。この記事の「自分で調べられる」の節の手順で、最新の年の「超過実労働時間数」を見てください。
「有給を取ると評価が下がる」と言われました。どうすればいいですか?
厚生労働省のQ&Aでは、有給を理由に査定を下げるのは問題だと答えています。言われた日時と内容をメモしておき、気になる場合は労働基準監督署などに相談してください。
面接で残業や有給のことを聞くと、印象が悪くなりませんか?
聞き方しだいです。「長く働きたいので、休みの回し方を知っておきたい」と理由を添えると、前向きな質問として伝わりやすくなります。
まとめ
残業が多い薬局は、休みの回し方に無理が出やすい職場です。求人票の言葉より、去年何日休めたか、急な欠勤をどう回すかを確かめてください。
私は誰も有給を取らない薬局で、先に休むことから始めました。空気は変えられましたが、人の余裕がない時期には私自身が休めませんでした。だから次の職場は、空気と人の数の両方で選んでほしいと思っています。
今日できることは1つです。去年、自分が有給を何日取れたかを数えてみてください。
その数字を見て、今の職場で続けるか、外も見てみるかを考える材料にしてください。求人の出方を知るだけなら、転職サービスの求人検索で条件を見比べる方法もあります。
