この記事にはプロモーション(広告)が含まれます。紹介している転職サービスは、運営会社が公表されていることと各社の公式情報をもとに選んでいます。執筆者が利用者として使った経験にもとづくものではありません。
職務経歴書って、何を書けば読んでもらえるんでしょう…。

「職務経歴書に、書くことがない」。調剤して、監査して、投薬して、在庫を管理する。書き出してみると、同じ職場の誰が書いても同じ紙になってしまう。そう感じて手が止まるのは、材料がないからではなく、読む側が何を探しているのかを知らないからです。
私は1年目から薬局長(管理薬剤師)を10年やり、後半は人事として薬剤師の採用面接も担当していました。この記事では、書類を読む側の席から見て目が止まる行の作り方と、加算や利益のような数字の出し方を書きます。

結論:業務の一覧ではなく「動かした数字」を書く
先に結論です。読む側が探しているのは、入ってすぐ何を任せられるかの手がかりです。調剤・監査・投薬・在庫管理は薬剤師なら誰でも書くので、そこでは差がつきません。
目が止まるのは、「何をしたか」「どうやったか」「どうなったか」が1セットになっている行です。この3つがそろうと、読む側は自分の店舗で同じことが起きる場面を想像できます。
数字はその想像を助ける道具です。自慢のために置くのではなく、相手が判断できるように置きます。
私が書けるのは、応募書類を読む側から見えたことです
立場をはっきりさせておきます。私は6年目に移った会社で、管理薬剤師の仕事に加えて、人事として薬剤師を探し、面接を担当していました。だから書けるのは、書類を読む側の席から何が見えていたかです。
書類を読む人は、どこを見ているんですか?

そこで気にしていたのは、大きく2つでした。教えるのにどれくらい時間がかかりそうか、そしてその人が入ったら店舗の数字がどう動きそうか。人柄はその後、会って確かめます。
裏を返せば、この2つのどちらかに答える行が1つでもあれば、書類は役目を果たします。枚数を増やすことではありません。
薬局の数字は「算定・在庫・人」の3か所にあります
「自分には数字がない」と感じる人は多いと思います。ただ、薬局の利益が動く場所は、それほど多くありません。算定(加算)、在庫と廃棄、そして人の3か所です。
私の場合も、この3か所で動かしました。1年目から管理薬剤師として配属された店舗で、最初に取りにいったのが後発医薬品調剤体制加算です。処方箋の基本料に乗るしくみの加算なので、算定できると店舗の利益がまとまって動きます。
ただ、就任してすぐの提案は通りませんでした。「これ以上仕事を増やさないでください」「後発医薬品に変えるとミスが増えるからやりたくない」。信頼のない新人が正しいことを言っても、現場は動かないということです。
正しい提案なのに反対されたら、心が折れそうです…。

そこで私がやったのは、加算の説明を繰り返すことではなく、現場の面倒を先に引き受けることでした。関係ができてから同じ提案をもう一度出し、今度は受け入れてもらえました。この加算を算定できるようになったことで、店舗の利益は目に見えて変わりました(当時の制度での算定です)。
在庫にも同じ時期に手を付けました。期限が近づいた在庫(デッドストック)を洗い出し、他の店舗と融通し合うことで、捨てる分を減らしました。こうした積み重ねで会社に示した実績が、年間利益500万円アップです。
6年目に移った会社では、地域支援体制加算を取りにいきました。当時この加算の施設基準には開局時間の条件があり、私の店舗ではその条件を満たすために土曜日の開局が必要でした。私が受けていたオファーは土日休みです。
そこで先に社長と約束しました。私が中心になって未経験のスタッフを育て、加算を取る。その代わり、条件から外れる土曜の出勤には別に残業代をもらう。加算は算定でき、約束どおり土曜の出勤分の手当が上乗せされて、私の本業の最高年収は980万円になりました。
職務経歴書に書くなら、この話は3行で足ります。何を取りにいったか、どうやって現場を動かしたか、どう変わったか。経緯の長さではなく、この3つがそろっているかどうかです。
年間利益500万円なんて、私には書ける数字がありません…。


最初から大きな数字を持っている人は多くありません。このあとの「量・回数・期間」の節で、利益の数字がなくても書ける方法を紹介します。

書き方の型:足りないのは「量」と「変化」
よくある行が弱いのは、嘘だからでも謙遜だからでもありません。量(どれくらいの現場か)と変化(前と後で何が違うか)が抜けているだけです。次の形で足すと、同じ経験が読める行になります。
| よくある行 | 足りないもの | 書き足すと |
|---|---|---|
| 調剤業務全般 | どれくらいの量か | 1か月の処方箋枚数と、そのうち自分が主に担当した業務 |
| 在宅を担当 | 何件を、どう始めたか | 担当した件数と、始めるために整えた手順 |
| 後輩の指導 | 何人が、どう変わったか | 指導した人数と、独り立ちまでにかかった期間 |
| 加算の算定 | どうやって現場を動かしたか | 反対をどう解いたか、算定を続けるために何を仕組みにしたか |
| 在庫管理 | 何が減ったか | 廃棄を減らすために変えた流れと、その後の在庫の様子 |
私の経験を同じ型に当てはめると、こうなります。見本として置いておきます。
- 後発医薬品調剤体制加算の算定(当時の制度):就任直後の提案は現場の反対で見送り。業務の負担を引き受けて関係を作り直したうえで再提案し、算定を開始。店舗の利益を押し上げた
- 在庫の見直し:期限が近づいた在庫を洗い出し、他店舗と融通する流れを作って廃棄を削減
- 地域支援体制加算の取得(当時の制度):未経験の医療事務スタッフの教育と、算定条件に合わせた開局体制の調整を担当
加算の名前は書いても、点数は書かない
調剤報酬は定期的に見直され、加算の名前・要件・点数は変わっていきます。当時の点数をそのまま書くと、読む側には古い情報として映ることがあります。
書くなら「当時の制度で算定した」と添えて、点数ではなく、算定にこぎつけるまでに何をしたか、算定を続けるために何を仕組みにしたかを書きます。読む側が知りたいのは点数ではなく、自分の店舗でも同じことができそうな人かどうかです。
書き方の例:後発医薬品調剤体制加算の算定(当時の制度)→ 算定までに何をしたか → 続けるために何を仕組みにしたか
数字が思いつかない人は、量・回数・期間で書けます
利益の数字を持っていない人のほうが多いです。その場合は、量・回数・期間に置き換えます。さきほどの表に挙げた処方箋の枚数・在宅の件数・指導した人数に加えて、次のようなものも材料になります。
- 勤務した店舗の数と、応援や新規の立ち上げで入った店舗があればその数
- 主に扱った処方の型(門前が中心か、いろいろな科を受けていたか、在宅が中心か)
- 手順書やマニュアルを作った数と、作った理由
- 一包化や飲み合わせの確認など、慣れている作業とその頻度
- 対応した科の種類(小児科・整形外科・皮膚科など)と、扱いに慣れている薬の分野
私が1年目に配属された店舗は、処方箋が月に約2400枚、処方箋1枚あたりの単価が2万円を超える門前薬局でした。この2つを書くだけでも、どれくらいの現場にいた人なのかは伝わります。数字を作るのではなく、覚えている事実を思い出す作業だと考えてください。

まずは処方箋の枚数と、扱った科の種類だけでも書き出してみてください。
ここから先で名前を挙げるサービスには、広告(アフィリエイトリンク)を含むものがあります。広告になっているものは、記事の下のボタンに PR と表示しています。
書き上げた紙は、自分では抜けに気づきにくいものです。担当者が付くタイプのサービスで、一度読んでもらうのも手です。たとえばエムスリーキャリアが運営する薬キャリAGENTのように、薬剤師に絞ったところがあります。どこまで見てもらえるかは担当者によって変わるので、扱っている内容は公式サイトで確かめてください。
人が辞めなかったことは、書く価値のある実績です
人が辞めなかったことなんて、実績になるんですか?

人の話も、そのまま実績になります。私は店舗のスタッフの離職を5年間ゼロにしました。書類にすれば1行ですが、読む側にとっては重い1行です。
採用には費用がかかります。紹介会社を通せば会社は紹介手数料を払いますし、入った人が独り立ちするまでの教育の時間も費用です。人が辞めない店舗を作れる人は、その費用を使わずに済ませられる人として見えます。
6年目に移った店舗は、引き継いだときは管理薬剤師が1年ごとに代わっている状態でした。そこが最後には、産休や育休でスタッフが抜けるときに、本人たちが知り合いを紹介してつないでくれる職場になりました。私が書ける実績は、こういう人の動きの形をしています。

書類には結果の1行だけを書いて、引き継いだときの店の様子から何が変わったかは、面接で聞かれたときに話す材料に取っておくと話しやすくなります。
教育や定着は、派手な数字になりにくい代わりに、どの薬局でも欲しがられる部分です。指導した人数、手順書を作ったこと、前任者から引き継いだ後に人の入れ替わりがどうなったか。思い当たることがあれば、利益の行より先に書いてよいくらいです。
書かなくてよいことも、先に決めておく
書き足すことばかり考えると紙が膨らむので、書かないことも決めておきます。
ひとつは、応募者の適性や能力と関係のないことです。履歴書については、厚生労働省が様式例を示しています。この様式例では性別は任意で記載する欄になっていて、通勤時間・扶養家族数・配偶者に関する欄は設けられていません。職務経歴書でも、家族のことや住宅の状況を自分から書き足す必要はありません。
出典:厚生労働省「公正な採用選考をめざして」、同省の履歴書様式例(2021年4月)(2026年9月28日閲覧)
実績を具体的に書こうとすると、患者さんのことまで書きたくなります…。

もうひとつは、患者さんが特定できる情報です。薬剤師が業務で知った人の秘密を正当な理由なく漏らすことは、刑法第134条で罰せられます。実績を具体的に書きたくても、患者さんの年齢・病名・処方の中身が分かる形は避けて、業務の流れとして書いてください。前の職場の悪口も同じで、読む側は「入ってから同じことを書かれるかもしれない」と受け取ります。

出す前の5つの確認
当日に考えると間に合わないものだけ並べます。どれも自分の側だけで決められます。
- 先頭の3行に、いちばん動かした数字を置いたか
- それぞれの行に、量(どれくらいの現場か)が入っているか
- それぞれの行に、変化(前と後の違い)が入っているか
- 加算は名前と「当時の制度」までにして、点数を書いていないか
- A4で1〜2枚に収まっているか
5番目は好みが分かれるところですが、読む側はまとめて何人分も見るので、長い紙が有利になるとはかぎりません。書ききれない分は面接で話せば足ります。
応募先によって強調する行を入れ替えるのも有効です。在宅に力を入れている薬局と、処方箋の枚数が多い門前薬局では、見たい行が違います。求人の出方を先に眺めておくと、入れ替えの見当がつきます。たとえば株式会社マイナビが運営するマイナビ薬剤師で、どんな条件の募集が並んでいるかを見てから書き直すのも一つです。
よくある質問
加算の点数まで書いたほうがよいですか
点数は書かなくて大丈夫です。制度の見直しで要件も点数も変わるため、古い点数はかえって目立ちます。「当時の制度で算定した」と添えて、算定までの進め方を書くほうが伝わります。
転職回数が多い場合やブランクがある場合はどうしますか
隠さずに、期間とその間にしたことを短く書くのが落ち着きます。読む側が気にしているのは回数そのものより「同じ理由でまた辞めることにならないか」なので、次にやりたいことまで書いてあれば、心配はだいぶ減ります。
応募先ごとに書き分けたほうがよいですか
先頭の数行を入れ替えるだけで十分なことが多いです。全部を書き直すより、相手の薬局が困っていそうなこと(在宅・教育・加算・在庫のどれか)を上に持ってくる、と考えるとやりやすくなります。
条件の話は、書類のどこに書きますか
職務経歴書は経験を伝える紙なので、希望条件は面接や担当者とのやり取りで伝えるほうが自然です。入社時の労働条件は、労働基準法第15条にもとづいて書面などで示されることになっています。聞いていた話と書面が違うと感じたら入る前に確かめて、判断に迷う場合は労働基準監督署などに相談してください。
まとめ
職務経歴書は、自分を大きく見せる紙ではありません。読む側が「入ってから何を任せられるか」を判断するための材料を渡す紙です。だから必要なのは、きれいな言葉ではなく、量と変化が入った数行です。
私が書ける実績も、特別なことではありませんでした。反対された加算を、関係を作り直してから取り直したこと。在庫を融通して捨てる分を減らしたこと。人が辞めない店舗にしたこと。どれも、やったことと、その結果を並べただけです。
まず、今の職場で自分が動かしたものを3つ思い出してみてください。量と変化を足せば、それがそのまま先頭の3行になります。
まずやること
- 今の職場で、自分が動かしたものを3つ思い出す
- それぞれに、量と変化を足す
担当者を通して探すなら、書き上げた紙を持って1社だけ相談してみるのが早いです。参考として、働き方の選択肢を広げて見たい人向けと、薬局以外も横に並べたい人向けに1つずつ挙げておきます。ほかにも事業者はあり、順位をつけるものではありません。詳しい条件は各社の公式サイトで確かめてください。
派遣という働き方も一緒に見たい人は、調剤薬局を母体とする株式会社メディカルリソース(日本調剤グループ)が運営しているこちらから。
薬局以外の職場も見てみたい人は、アポプラスキャリア株式会社が運営しているこちら。どの職場(調剤薬局・病院・ドラッグストア・企業など)の求人を扱っているかは公式サイトに載っているので、そこで確かめてください。
どちらを選んでも、最初に渡すものは同じです。量と変化の入った3行。それが決まっていれば、書類でも面接でも、話す順番に迷わなくなります。
