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面接官って、結局どこを見て合否を決めているんだろう?

「面接で何を聞かれるのか分からない」「最後に何か質問はありますかと言われて、毎回黙ってしまう」。転職の面接がこわいのは、答えを用意できないまま座らされる場所だからです。私は1年目から薬局長(管理薬剤師)を10年やり、後半は人事として薬剤師の採用面接も担当していました。この記事では、面接で出やすい質問の裏で採用側が何を確かめているのか、そして職場の実態を知るための逆質問を、聞く側の席から書きます。

結論:答えの出来より、採用側は3つのことを見ています
先に結論です。面接官が見ているのは、話の上手さではありません。「長く続きそうか」「入ってすぐ何を任せられるか」「その人を採る費用に会社が納得できるか」の3つです。
質問の言い方は会社ごとに違っても、たいていこの3つのどれかを確かめるために聞いています。だから答えを丸暗記するより、自分の答えがこの3つのどこに届くのかを考えたほうが早いです。
多くの面接官が見ている3つ
- 長く続きそうか
- 入ってすぐ何を任せられるか
- その人を採る費用に、会社が納得できるか
逆質問はその裏返しです。こちらが知りたいのは「この職場は自分が続けられる場所か」。だから聞くのは会社のうたい文句ではなく、人の入れ替わりと日々の仕事量です。
私が書けるのは、採用する側から見えたことです
はじめに立場をはっきりさせておきます。私は6年目に転職した会社で、管理薬剤師の仕事に加えて人事として薬剤師を探し、面接も担当していました。だから書けるのは、面接官の席から何が見えていたかです。
採用は、現場が人手不足だから決まるものではありません。私の店舗では、パート勤務の薬剤師から正社員になりたいと相談を受けたことがあります。会社の答えは、今この店舗に正社員は2人要らない、というものでした。希望は通らず、その後その店舗の薬剤師は私1人になりました。
面接で落ちたら、自分がダメだったってことですよね…。

椅子を出すかどうかは、多くの場合、会社のお金の判断です。だから面接で落ちたとしても、あなたの人としての評価が低いという話とは別のことがよくあります。ここを知っておくだけで、面接の受け止め方はだいぶ軽くなります。
面接で出やすい質問と、採用側がそこで知りたいこと
質問ごとに「なぜ聞くのか」を並べました。採用する側の関心から逆算すると、答え方も決まってきます。
| 聞かれること | 採用側が知りたいこと |
|---|---|
| 自己紹介を1〜2分で | 話を整理して短く伝えられるか(投薬でも要る力) |
| 転職したい理由 | 同じ理由でまた辞めることにならないか |
| なぜこの薬局なのか | どこでもよいのか、ここで何をしたいのか |
| 今の職場でやってきた工夫 | 入ってすぐ任せられる仕事はどこまでか |
| できる業務の範囲(在宅・監査・レセプト・加算) | 教えるのにかかる時間の見積もり |
| 数年後にどうなりたいか | 管理者や教育の担い手になる可能性 |
| 残業・土曜の出勤・在宅への対応 | 店舗の営業条件と生活が合うか |
| 希望する年収 | 会社が出せる範囲と合うか |
| いつから働けるか | 欠員が出る時期と合うか |
| ほかの選考の状況 | 返事を待てる期間の見当 |
| 最後に質問はありますか | 準備してきたか、不安が具体的か |
このなかで採用側がとくに気にしやすいのは、「転職したい理由」と「残業・土曜への対応」です。理由は単純で、この2つがずれたまま入ると、入ってから困るのが本人だからです。
転職理由を正直に話すと、前の職場の悪口になってしまいそうです…。

だから転職理由は、前の職場を悪く言う形にしなくて大丈夫です。「人が減って学ぶ時間が取れなかった」「在宅をやりたかったが機会がなかった」のように、これからやりたいことへ向けて話すと、採用側も配置を想像できます。
もうひとつ、「できる業務の範囲」は正直に答えたほうが得です。できると言って入った後に困るのは、本人と現場の両方です。覚える順番まで話せると、教える側は計画が立てられます。
答え方の順番は「結論→事実と数字→これからやること」

答えは長さより順番です。結論を先に出し、それを支える事実と数字を置き、最後に入ってからやりたいことへつなげます。この3つの部品で、ひと続きの答えになります。
たとえば工夫を聞かれたら、「薬の廃棄を減らしました」と先に言い、次に「期限の近い在庫を洗い出して、他の店舗と融通し合った」と中身を足します。数字を出せるなら、おおよそでも添えると伝わり方が変わります。
数字なんて、出せるほどのものがありません…。


数字がなくても大丈夫です。私なら「期限の近い在庫を他の店舗と融通して、廃棄を減らした」のように、何をどう変えたかを話します。数字は分かる範囲で足せば十分です。
私自身、管理薬剤師として店舗の利益の話ができるようになってから、会社と交渉できるようになりました。数字は自慢のためではなく、相手が判断するための材料です。この順番は、面接でも入ってからの相談でも変わりません。
新卒の面接で、私は年収の話をしませんでした
ここは私の一次情報です。私は奨学金1000万円を抱えて薬学部を出ました。それでも入社前の面接で社長から希望の条件を聞かれたとき、伝えたのは一言だけでした。「管理薬剤師を経験したいです」。
年収の希望は、その場では言いませんでした。お金が欲しいことは、経営者は言われなくても分かっています。まだ利益を出していない新人が金額の話から入ると、面接は払う・払わないだけの話になります。
奨学金があるのに、年収の話をしなかったんですか?


はい。1000万円の返済を抱えていましたが、先に任される場所を取るほうが近道だと考えました。
先に相手の得になる一言を置くと、評価や条件は後からついてきやすくなります。私はこの順番で、1年目から店舗を任せてもらう切符を手に入れました。
ただしこれは、経験のない新卒の場面の話です。経験者の転職で条件を言わないままにすると、別の問題が起きます。
経験者の転職では、条件を「先に握る」
私が6年目に移った会社のオファーは、土日休みでした。ところが薬局の利益を大きく動かす加算を取るには、土曜の開局が必要でした。条件と会社の目標が、正面からぶつかっていたわけです。
そこで私は、社長に先に約束しました。「私が中心になってスタッフを育て、加算を確実に取ります。その代わり、条件外になる土曜の出勤には別に残業代をください」。結果として加算は取れ、私の年収は本業の最高で980万円まで上がりました。
条件の話を自分から出すと、わがままだと思われそうで…。

後から不満を言うのではなく、相手の得を先に約束して、自分の対価をその場で握る。面接で条件を話すときも同じで、「できません」で終えるより「これをやるので、その分はこうしてください」の形にすると通りやすくなります。
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担当者を通して探す場合も、この言い方をそのまま担当者に伝えておく手があります。薬剤師に絞って担当者が付くタイプ、たとえばエムスリーキャリアが運営する薬キャリAGENTのようなところでも、渡した言葉がそのまま会社に届くと考えて準備しておくと安全です。
逆質問は、職場の実態を確かめる時間に使う

「最後に質問はありますか」は、評価される時間ではなく、あなたが確かめる時間です。会社の良いところは求人票に書いてあります。書いていないのは、人の入れ替わりと日々の仕事量です。
| 聞くこと | 聞き方の例 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 前任者の在籍 | この店舗の管理薬剤師は、直近では何年くらい続いていますか | 短い交代が続く店舗かどうか |
| 直近の退職 | この1年で辞めた方はいますか。代わりの方は決まりましたか | 欠員のまま回している状態かどうか |
| 人と仕事量 | 忙しい時間帯は、処方箋の枚数に対して薬剤師と事務が何人いますか | 残業が仕組みとして起きるかどうか |
| 有給 | 有給はどのくらい取れていますか。取るときの流れはどうなっていますか | 制度はあっても取りにくい職場かどうか |
| 教育 | 入ったあと、最初の1か月は誰にどう教わりますか。手順書はありますか | 見て覚えろの職場かどうか |
| 評価 | 昇給や評価は、何をもとに決まりますか | 頑張りどころが読めるかどうか |
| 加算 | いま算定している加算と、これから取りたい加算はありますか | 会社の方向と自分の経験が合うか |
なぜこの7つかというと、このうちのいくつかは、私自身が逆の状況を経験しているからです。1年目に配属された門前薬局は、処方箋の枚数が月に約2400枚、処方箋1枚あたりの単価は2万円を超える店舗でした。マニュアルはなく、見て覚えろの職人スタイルでした。
3年目の冬には、短い期間に人が続けて辞め、薬剤師は5人から私1人になりました。昼休みが取れない日が続きました。求人票を見ただけでは、この状態は分かりません。
有給も同じです。誰も有給を取ったことがない職場で、当時、有給を取ると評価が下がる、と会社側から言われたことがあります。私が率先して取ることで、少しずつ取れる体制に変わりました。制度があるかどうかではなく、実際に取れているかを聞くのが大事なのはこのためです。
6年目に移った先の店舗も、引き継いだときは管理薬剤師が1年ごとに代わっている状態でした。裏返せば「前任者がどのくらい続いたか」は、聞く価値のある質問だということです。答えにくそうにされたら、それもひとつの情報になります。
こんなに踏み込んだことを聞いて、印象が悪くなりませんか?

聞き方のコツは、詰めずに「教えてもらう」形にする
同じ内容でも、言い方で相手の受け取り方は変わります。「残業は多いですか」と聞くと、相手は「そんなに多くないですよ」で終われてしまいます。
一方、忙しい時間帯の枚数と人の配置を聞けば、相手は事実で答えることになります。詰めるためではなく、入ってからの毎日を想像するために教えてもらう、という姿勢だと角が立ちません。
聞きにくいことは、担当者が付くサービスなら先に確かめてもらう方法もあります。正社員・パートに加えて派遣も扱うお仕事ラボ(広告)のようなところなら、面談のときに「この3つを先に聞いてほしい」と伝えるところから始められます。ただし、どこまで代わりに確かめてもらえるかは担当者や求人先によって変わるので、扱っている働き方や条件は各社の公式サイトで確かめてください。
用意するのは3つ。数を競う場所ではないので、多くても4つまでにしておくと、聞きたいことがぼやけません。
逆質問は3つ、多くても4つまで。人の入れ替わり・仕事量・教育から1つずつ選ぶと、聞きたいことがぼやけません。
聞かれても、答えを控えてよい質問があります
面接で本籍や出生地、家族の職業や収入、住宅の状況、宗教や支持政党といったことを聞かれることがあります。これらは本人の適性や能力とは関係がなく、厚生労働省は採用選考時に配慮すべき事項として整理しています(身元調査や、合理的・客観的に必要とは言えない健康診断も同じ扱いです)。答えに迷ったら、その質問が仕事に関係するのかを確かめても構いませんし、答えを控えることもできます。就職差別に当たるのではと感じたときは、ハローワークや都道府県労働局に相談できます。
出典:厚生労働省「公正な採用選考をめざして」採用選考時に配慮すべき事項
条件は、口約束で終わらせない
面接で条件を聞いたら、書面と合っているかを確かめてください。求人を出す会社や紹介事業者は、職業安定法第5条の3で、従事する業務の内容や賃金などを明示することが求められています。2024年4月からは、就業場所や業務が変わる範囲なども明示する事項に加わりました。
出典:職業安定法第5条の3、厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」
入社のときには、労働基準法第15条にもとづいて労働条件を書面などで示すことになっています。面接で聞いた話と書面が違うと感じたら、入る前に確かめるのが安全です。制度の細かい判断は状況によって変わるので、不安があるときは労働基準監督署などに相談してください。

土曜の残業代も、私は後から言うのではなく先に約束を取り付けました。聞いた条件は、書面で確かめるところまでがセットです。
面接の前日までに決めておく5つ
当日に考えると間に合わないものだけ、先に決めておけば十分です。どれも相手に頼むことではなく、自分の側だけで決められます。
- 転職したい理由を、これからやりたいことの形で1文にする
- 今の職場でやってきた工夫を、結論・事実と数字・これからの順で3つ
- できる業務とまだできない業務を、線を引いて書き出す
- 逆質問を3つ選ぶ(人の入れ替わり・仕事量・教育から1つずつ)
- 譲れない条件と、譲ってよい条件を先に分けておく
5番目がいちばん大きいです。面接の場で初めて考えると、その場の空気で譲ってしまいます。紙に書いて持っていくだけで、返事の質が変わります。

全部そろわなくても大丈夫です。まずは5番目だけでも、紙に書いてみてください。
よくある質問
転職したい理由は、正直に言ってよいですか
言ってよいです。ただ不満で止めず、次にやりたいことまでつなげてください。採用側が心配しているのは「同じ理由でまた辞めるか」なので、そこが消えれば足ります。
逆質問は何個くらい用意すればよいですか
3つで足ります。面接の説明で答えが出たものは飛ばして構いません。数より、求人票に書いていないこと(人の入れ替わり・仕事量・教育)を1つでも聞けたかが大事です。
希望する年収は、いつ言えばよいですか
聞かれたときに答えるのが基本です。自分から金額だけを先に出すより、やれることと一緒に出すほうが通りやすくなります。私も土曜の出勤を引き受ける代わりに、残業代を先に約束してもらいました。
紹介会社を通すと、面接で不利になりますか
会社は紹介手数料という費用を負担するので、慎重になる会社もあります。一方で、自力で募集しても人が集まらない薬局はたくさんあり、費用を払っても採りたい会社も普通にあります。どちらになるかは会社の状況次第で、応募する側で決められることではありません。
まとめ
面接は試験ではなく、条件のすり合わせです。採用側は「長く続くか」「何を任せられるか」「費用に合うか」を見ていて、あなたは「ここで続けられるか」を確かめる。立場は逆でも、やっていることは同じです。
私が新卒の面接で年収の話をしなかったのも、転職後に土曜の出勤と残業代を先に握ったのも、順番は同じでした。相手の得を先に置いて、自分の対価はその場で決める。これは面接の日だけでなく、入ってからの交渉でも使えます。
逆質問は3つ、答え方は結論から。この2つを決めておけば、当日の緊張はだいぶ減ります。
当日までに決める2つ
- 逆質問は3つ(人の入れ替わり・仕事量・教育)
- 答え方は「結論→事実と数字→これから」
もし担当者を通して探すなら、まず1社だけ選んで、希望条件と連絡してほしい方法を最初に伝えてみてください。参考として、派遣も一緒に見たい人向けと、薬局以外も横に並べたい人向けに1つずつ挙げておきます。ほかにも事業者はあり、順位をつけるものではありません。詳しい条件は各社の公式サイトで確かめてください。
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薬局以外の職場も見てみたい人は、アポプラスキャリア株式会社が運営しているこちら。どの職場(調剤薬局・病院・ドラッグストア・企業など)の求人を扱っているかは公式サイトに載っているので、そこで確かめてください。
どちらを選んでも、最初に渡す言葉は同じです。やれることと、譲れない条件。この2つが決まっていれば、面接の席でも担当者との相談でも、話す順番に迷わなくなります。
