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管理薬剤師になったら、年収ってどのくらい上がるんだろう。責任だけ増えて損しないかな……。

管理薬剤師の求人を見ると、手当や年収の幅がバラバラですよね。 「責任が重いわりに、割に合うの?」と迷っていませんか?
この記事では、管理薬剤師の法律上の役目と、年収が上がる仕組みが分かります。 あわせて、求人票で見ておきたい5つの所もまとめました。
私は堀口 健(Ken)です。1年目から薬局長(管理薬剤師)を10年務めました。 人事(薬剤師の採用面接)と、マネージャー(他店舗の売上管理・スタッフの教育)も担当しました。
結論|管理薬剤師の年収は「手当」より「任される中身」で見る
先に結論です。管理薬剤師の求人は、手当の額より「何を任されるか」で選ぶのがおすすめです。 私の年収が大きく上がったのは、肩書きが付いた時ではありませんでした。
上がったのは、苦しい店を回し続けた時や、店の利益を先に約束して話し合えた時です。 だから求人票では、手当の額と一緒に「その店で何ができるか」を見てほしいんです。
え、手当の額がいちばん大事じゃないんですか?


もちろん手当も大事です。ただ、私の場合は手当より、任された中身のほうが後の年収につながりました。
この記事では、管理薬剤師の手当の相場の数字は書きません。 会社ごとの差が大きく、確かな出典で示せないからです。 その代わり、自分で公的な数字を調べる方法をこのあとで紹介します。
管理薬剤師とは|法律で決まっている役目
管理薬剤師は、薬局ごとに置く「管理者」のことです。 決まりは、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に書かれています。
ざっくり言うと、法律には次のようなことが書かれています。
- 薬局ごとに管理者を置く。開設者が薬剤師でなければ、薬剤師の中から管理者を決める(第7条)
- 管理者は、薬剤師や事務スタッフを監督し、設備や医薬品を管理する(第8条)
- 管理者は、必要なことを開設者に書面で意見として伝える。開設者は、その意見を尊重する(第8条・第9条)
つまり、管理薬剤師は「店の薬と人と設備を守る責任者」です。 調剤が上手なだけでは足りない立場なんですね。

ほかの場所との掛け持ちは、原則できない
管理薬剤師は、原則としてその薬局の管理に専念する立場です。 ほかの場所で薬の仕事を掛け持ちすることは、法律で制限されています。
例外として、薬局のある地域の許可(都道府県知事、保健所のある市や特別区では市長・区長)を受けた場合などがあります。
あなたが副業や応援勤務を考えているなら、ここは先に知っておきたい所です。 細かい扱いは地域や事情で変わることがあります。
気になる時は「横浜市 保健所 薬局」のように、住んでいる市の名前と「保健所 薬局」を入れて検索してみてください。 薬局の担当の窓口が出てきます。
法律の書き方は改正で変わることがあります。この記事は一般的な説明です。条文そのものは、次の手順で読めます。
条文を自分で読む手順です。
- 「e-Gov法令検索」で検索して、デジタル庁の法令検索のページを開く
- 検索の欄に「医薬品、医療機器等の品質」と入れて、法律を開く
- 目次から「薬局」の章を開き、第7条・第8条を読む
私の年収の推移|管理薬剤師の肩書きだけでは上がらなかった
ここからは私の話です。 1年目から管理薬剤師でしたが、1年目の年収は520万円でした。
| 年目 | 年収 | 何があったか |
|---|---|---|
| 1年目 | 520万円 | 管理薬剤師として入社 |
| 2年目 | 542万円 | ほぼ横ばい |
| 3年目 | 600万円 | 他社の話を社内で出して昇給 |
| 4年目 | 800万円 | 上の役員が社長に掛け合ってくれた |
| 5年目 | 800万円 | 横ばい |
| 6年目 | 900万円 | 声をかけてもらい転職 |
| 転職後 | 980万円(最高年収) | 土曜の出勤分の手当が上乗せ |

※本業の年収です。筆者個人の記録で、どの人にも当てはまるものではありません。
表を見ると、1〜2年目はほとんど動いていませんよね。 肩書きが付いただけでは、年収はすぐには上がりませんでした。 あなたの今の店では、役職と年収はつながっていますか?
3年目の昇給は、ほめられたやり方ではなかった
3年目に、他社から年収600万円の話をもらいました。 それを社内で漏らしたら、600万円まで昇給しました。
でも、そのぶん信用を大きく失ったと感じています。 「他社に誘われている」は、1回しか使えないカードでした。
じゃあ、どうやって800万円まで上がったんですか?


文句を言わず店を回し続けた私を見て、当時の役員が社長に掛け合ってくれたんです。条件は「あと1年半辞めないこと」でした。
980万円は「先に約束した」から届いた
転職した先では、地域支援体制加算という加算を取りに行きました。 この加算は、平日に加えて土曜か日曜のどちらかに店を開けることなどが条件です。私の店では、土曜に開けることになりました。
私の条件は「土日休み」でした。 だから先に社長と話して「スタッフを育てて加算を取ります。土曜の出勤分は別に手当をください」と約束しました。
加算は取れて、約束どおり手当が上乗せされました。 それで本業の最高年収980万円に届いたんです。
年収は、店の利益を作ってから話すと動きやすい。これが10年で分かったことです。 年ごとの推移や交渉の中身は、1年目520万円から最高980万円までの推移にもくわしく書いています。
10年務めた私が、求人票で見る5つの所
ここからが本題です。 私が今、管理薬剤師の求人を見るなら、次の5つを確かめます。

図の1〜5は、下の表の上から順に対応しています。
| 見る所 | 求人票や面接で聞くこと | なぜ見るか |
|---|---|---|
| 忙しさと人数 | 1日の処方せんの枚数と、薬剤師の人数 | 1人が抜けると回らない店がある |
| 前任の続いた年数 | 前の管理薬剤師は何年いたか | 入れ替わりが多い店は理由がある |
| 決められる範囲 | 仕組みや人の配置を変えてよいか | 任されないと数字を作れない |
| 休みと手当 | 有給の取りやすさ・条件外の勤務の手当 | 後から言い出しにくい |
| 本部の支え | 困った時に相談できる人がいるか | 1人で抱えると燃え尽きやすい |
1. 店の忙しさと、薬剤師の人数
最初の職場は、月に約2400枚の処方せんが来る門前の薬局でした。 3年目の冬、退職が続いて、5人いた薬剤師が私1人になりました。
昼休みはなし。熱が40℃出ても出勤していました。 人数に余裕のない店では、何人かが続けて辞めると、一気に回らなくなります。
求人票の「薬剤師◯名」は、今いる人数のことが多いはずです。 面接では「1人休んだ時、どう回していますか?」と聞いてみてください。
2. 前の管理薬剤師が、どれくらい続いたか
転職した先の店は、私が入る前、管理薬剤師が1年ごとに代わっていたそうです。 スタッフも次々と辞めていく状態でした。
あなたが入る店の前任は、何年いた人でしょうか? 入れ替わりが多いなら、店の中に何か理由があるかもしれません。
そんなこと、面接で聞いても大丈夫なんですか?


管理を任される立場なら、聞いていいことだと思います。答え方そのものが、会社を知る材料になります。
3. 自分で決められる範囲
私が1年目から管理薬剤師を選んだのは、店の仕組みや数字を動かせる立場だからです。 ただの薬剤師では、店全体を変える権限がありませんでした。
だから面接では、年収の話はせず「管理薬剤師を経験したいです」とだけ伝えました。 まず相手(経営者)の得を先に出す、という考えです。
管理薬剤師でも、何も変えられない店はあると思います。 「新しい仕組みを入れたい時は、誰が決めますか?」と聞いておくと安心です。
4. 休みの取りやすさと、条件外の勤務の手当
最初の職場は、誰も有給を取れない雰囲気でした。 上司には「有給を取ると評価が下がる」とまで言われました。
そこで私が先に取って、みんなが取れる形にしました。 ただ、管理薬剤師が自分で取りにくい店だと、休みはどんどん後回しになります。
それと、土曜の出勤など条件の外の働き方です。 私は後から文句を言うのではなく、先に手当を約束してもらいました。
面接で聞いておきたいこと
- 1人休んだ時、店をどう回しているか
- 前の管理薬剤師は何年いたか
- 条件外の出勤は、どう手当がつくか
5. 本部や上の人の支え
最初の店は本部から遠く、会社の目が届いていませんでした。 マニュアルもなく、「見て覚えろ」の職場でした。
困った時に相談できる上の人がいるかどうかで、管理職のしんどさは大きく変わります。 疲れがたまった時の考え方は、管理薬剤師に疲れたあなたへにまとめています。
年収の「ものさし」を自分で調べる方法
手当の相場の代わりに、薬剤師全体の賃金を公的な資料で確かめる方法を書きます。 求人の年収が高いのか低いのか、自分で見当をつける材料になります。
- 「job tag 厚生労働省」で検索して、職業情報提供サイト(job tag)を開く
- 上の検索の欄に「薬剤師」と入れて、薬剤師のページを開く
- ページの中の「労働条件の特徴」を開き、賃金(年収)の数字を見る
job tag の数字は全国の薬剤師全体のもので、管理薬剤師だけの数字ではありません。地域や働き方でも変わるので、目安として見てください。
求人の探し方|自分で見るか、人に聞くか
管理薬剤師の求人は、ネットに出ている情報だけでは分からない所が多いです。 さっきの5つのうち、前任の年数や店の雰囲気は、求人票にはまず書かれていません。
自分で面接で聞くのが基本です。 でも、聞きにくいことを代わりに確かめてもらえる場合があるのが、紹介会社のよい所です。
担当者が付くタイプなら、エムスリーキャリアの薬キャリAGENTのように薬剤師専門のところから1社選ぶ方法があります。 派遣という働き方も比べたいなら、派遣も扱うファルマスタッフで求人の出方を見てみる(PR)のも1つです。
話を聞く窓口を2つ持って比べたいなら、薬剤師専門のアポプラス薬剤師をもう1つの候補にする方法もあります。

紹介会社に頼む時も、さっきの5つのうち何を先に聞きたいか、順番を決めておくと話がぶれにくいです。
紹介会社を使う時の注意は、転職サイトを「使うな」は本当かに書いています。
よくある質問
管理薬剤師になれば、年収は上がりますか?
上がるかどうかは、会社と店によります。 私も1〜2年目はほとんど上がりませんでした。 手当の額は会社ごとに違うので、求人票と面接で確かめてください。
経験が浅くても、管理薬剤師になれますか?
私は1年目からなりました。 会社の方針によるので、面接で「管理薬剤師を経験したい」と伝えてみるのも1つです。
管理薬剤師は副業できますか?
ほかの場所での薬の仕事の掛け持ちは、法律で原則として制限されています。
薬と関係のない副業は、会社の就業規則によります。 まず就業規則で副業の項目を読み、分からない所は上司や人事の担当に聞いてみてください。
薬の仕事の掛け持ちは、上で書いた保健所の調べ方で窓口を探せます。
まとめ|手当の額より「その店で何ができるか」
この記事のポイントです。
- 管理薬剤師は、店の薬と人と設備を守る、法律で決まった責任者
- 私の年収は、肩書きが付いた時より、店を支え続けた時や利益を先に約束した時に上がった
- 求人票では、忙しさと人数・前任の年数・決められる範囲・休みと手当・本部の支えを見る
正直に言うと、管理薬剤師は楽な仕事ではありません。 でも私は、店を任されたからこそ数字を作れて、年収の話ができました。 大事なのは、任された中身を自分で選ぶことです。
今日できることは1つです。 気になる求人を1つ選んで、この記事の5つの所を紙に書き出してみてください。 書けない所が、面接で聞くことになります。
