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早く薬局長になりたい。でも、何年待てば声がかかるんだろう……。

「何か希望の条件はあるかな?」 面接で社長にそう聞かれた時、私は年収の話をしませんでした。
返したのは「管理薬剤師を経験したいです」の一言だけです。 この一言から、私の1年目の薬局長生活が始まりました。
この記事では、薬局長になるための道と、私が1年目で任された理由が分かります。 あわせて、任される人に共通する2つの行動と、薬局長の年収のリアルもまとめました。
結論|薬局長は「待つ人」より「取りに行く人」が任されやすい
先に結論です。薬局長は、順番を待つより、自分から役割を取りに行く人が任されやすいです。 私がしたのは、大きく分けて次の2つでした。
- 会社選びの段階で「1年目から管理薬剤師を任せてくれる会社」を条件にした
- 入ってからは、相手の得を先に出し、面倒な「環境作り」を拾い続けた
特別な才能があったわけではありません。 新人の私は、薬の場所も機械の使い方も分からないところからのスタートでした。
新人でも本当に任せてもらえるんですか?


会社によります。だから私は、任せてくれる会社を最初から選びました。
薬局長になるには|よくある3つの道
薬局長への道は、大きく3つあります。 あなたは今、どの道に近いでしょうか?
| 道 | どんな流れか | 向いている人 |
|---|---|---|
| 入社の時に約束してもらう | 面接で「管理を任せたい」と話がまとまって入る | 就職・転職の前の人 |
| 今の会社で上がる | 今の店で実績を積み、声がかかるのを待つ・自分から申し出る | 今の職場が好きな人 |
| 管理職の求人に転職する | 管理薬剤師の募集に応募する | 経験を積んできた人 |
ちなみに「薬局長」と「管理薬剤師」は、会社によって呼び方が違います。 同じ人を指すことも、別の役目のこともあります。
管理薬剤師は、法律(薬機法)で薬局ごとに置くと決まっている管理者です。 法律の役目と手当の見方は、管理薬剤師の年収と求人の選び方にまとめています。

何年目からなれるかは、会社の方針で大きく変わります。 だからこそ「どの会社を選ぶか」が、いちばん効く所でした。
私が1年目で任された理由|会社選びと面接の一言
病院の手取りを見て、条件を1つに決めた
きっかけは、大学の共有スペースで求人票を見た日でした。 病院薬剤師の手取りが17万円ほどと分かり、友人と顔を見合わせました。
私には奨学金が1000万円ありました。 早く返すには、会社の利益を作れる立場が要ると考えました。
そこで決めた条件が「1年目から管理薬剤師のポストを約束してくれる会社」です。 選んだのは、約20店舗ある地方の中小の薬局グループでした。
大手のほうが安心な気もしますけど……。


大手の安心も大事です。ただ、新人に管理を任せる余地は、人手が足りない中小のほうがありそうだと考えました。
面接で年収の話をしなかった
面接では、希望を聞かれて「管理薬剤師を経験したいです」とだけ伝えました。 社長は少し驚いた顔をして、面白そうに笑っていました。
お金が欲しいのは、経営者も分かっています。 まだ利益を出していない新人が、最初にお金の話をしたらどう映るでしょう?
逆に「経験したい」と言う新人は、会社にとって得のある人に見えます。 これが、あとで話す「相手の得を先に出す」の最初の一歩でした。

年収の話をしないのが正解、という意味ではありません。私の場合は「役割を先にもらい、結果を出してから年収を話す」順番を選んだ、ということです。
薬局長の年収|肩書きだけでは上がらなかった
1年目から管理薬剤師でしたが、1年目の年収は520万円でした。 正直に言うと、肩書きが付いた日に年収が大きく上がったわけではありません。
| 年目 | 年収 | 何があったか |
|---|---|---|
| 1年目 | 520万円 | 管理薬剤師として入社 |
| 2年目 | 542万円 | |
| 3年目 | 600万円 | 社内で昇給 |
| 4年目 | 800万円 | 当時の役員が昇給を取ってきてくれた |
| 5年目 | 800万円 | |
| 6年目 | 900万円 | 転職 |
| 転職後(最高年収) | 980万円 | 土曜の開局の分を先に交渉 |
※筆者の記録です。会社や地域で大きく変わります。

上がった時を振り返ると、店を支え続けたあとや、転職の時に「利益を先に約束した時」が多くありました。 3年目の昇給だけは、他社の話を漏らした結果で、信用と引きかえでした。 薬局長の年収は、肩書きより、出した利益と交渉の順番で変わりました。
年ごとの細かい話は、薬剤師の年収リアルに書いています。
じゃあ、薬局長になっても年収が上がらないこともあるんですか?


あると思います。肩書きは入口で、年収を動かしたのは、そのあとの数字でした。
任される人の共通点1|相手の得を先に出す
1つ目の共通点は、自分の希望より先に、相手の得を出すことです。 人は何かをもらうと、お返ししたくなります(返報性)。
私が先に出した「相手の得」は、こんなものでした。
- 面接で、お金より「管理をやりたい」を伝えた
- 転職後、土曜も開けることが必要だった加算は「私が育てて取るので、土曜の分は残業代を」と先に話した
- 誰も有給を取れない店で、自分から先に取り、取れる流れを作った
箇条書きの「土曜も開けることが必要だった加算」は、地域支援体制加算という点数のことです。 条件を後から並べるのではなく、先に会社の利益を約束してから、こちらの条件を話しました。
1回しか使えないカードもある
失敗もあります。3年目に、他社から600万円の話があったことを社内で漏らしました。 年収は600万円に上がりましたが、信用を大きく失ったと感じました。
「他社に誘われている」は、信用と引きかえの1回きりのカードです。 任されたい人ほど、先に得を出す順番を大事にしてほしいと思います。
任される人の共通点2|面倒な「環境作り」を拾う
2つ目は、誰もやりたがらない面倒を拾うことです。 ただし、掃除やレジ締めのような雑務ではありません。
配属先は、グループで売上がいちばん多い門前の薬局でした。 処方せんは月に約2400枚。マニュアルは無く、「見て覚えろ」の店でした。
最初はレジ締めや掃除も手伝おうとしました。 でも事務スタッフに「薬剤師の仕事をしてください」と止められてしまいました。
そこで拾ったのが、人と仕組みの「面倒」です。
| 雑務(拾わなかった) | 環境作り(拾った) |
|---|---|
| ゴミ捨て | 待合室のクレームに真っ先に出て、スタッフの盾になる |
| レジ締め | 形だけの勉強会を見直し、業務時間内に共有する時間を作る |
| トイレ掃除 | 薬を集めるルールを作り、処方せんのコピーに注意点を書く |

クレームには、謝るだけでなく「たくさんうちの薬局を見ていただき、ありがとうございます」と感謝も添えました。 面倒な「環境作り」を拾うと、肩書きより先に信頼が集まりました。
それって、新人でもできることなんですか?


できる所からで大丈夫です。私も最初の加算の提案は、現場に反対されて失敗しました。
信頼ができてから、数字が動いた
就任してすぐ、後発医薬品の加算を増やそうと呼びかけました。 返ってきたのは「これ以上仕事を増やさないで」という声でした。
関係ができてから、もう一度お願いしました。 すると受け入れてもらえ、当時の後発医薬品調剤体制加算だけで月約50万円の利益アップにつながりました。
2つの共通点
- 自分の希望より先に、相手(会社・現場)の得を出す
- 雑務ではなく、人と仕組みの面倒を拾う
薬局長を目指す人が、今日からできること
あなたの店にも、誰も拾っていない面倒がありませんか? 今すぐ薬局長にはなれなくても、準備は今日から始められます。
今の状況に近いものから、1つ選んでみてください。
- 今の店で、誰も手を付けていない「面倒」を1つ書き出す
- その面倒を片付けると、店や会社にどんな得があるかを1行で書く
- 上司との面談で「管理の仕事を手伝いたい」と伝えてみる
- 転職を考えるなら、面接で「何年目から管理を任せた例があるか」を聞く

転職で道を探すなら、担当者が付くタイプの紹介会社を使う手もあります。 たとえば薬剤師専門の薬キャリAGENTのようなところで、「早めに管理を任せてもらえる会社か」を担当者に確かめてもらう使い方です。
1社だけで決めにくい時は、アポプラス薬剤師(PR)のような別の会社と話を比べるのも1つです。 面接で聞くことは、薬剤師の面接で聞かれること・逆質問にもまとめています。
求人票の「管理薬剤師候補」は、いつ任されるかが書かれていないことがあります。面接で時期と、前の人がどれくらい続いたかを聞いておくと安心です。
よくある質問
薬局長には何年目からなれますか?
会社の方針で変わり、決まった年数はありません。 私は1年目からでしたが、それは入社前に約束してもらえる会社を選んだからです。
1年目から薬局長は、きつくないですか?
正直、きつかったです。 3年目の冬には、薬剤師が5人から私1人になった時期もありました。 任される前に、相談できる上司や役員がいるかを確かめておくと安心です。
薬局長になれば年収は上がりますか?
肩書きだけでは、大きくは上がらないことがあります。 私の場合は、店の利益を出したあとや、利益を先に約束した時に上がりました。
まとめ
薬局長になるための大事な点を、もう一度まとめます。
- 「1年目から任せてくれる会社」を選ぶと、待つ時間を短くできることがある
- 面接や交渉では、自分の希望より先に、相手の得を出す
- 雑務ではなく、人と仕組みの面倒な「環境作り」を拾う
- 年収は肩書きより、出した利益と話す順番で動きやすい
私も最初は、冷たい言葉を言われる新人管理薬剤師でした。 それでも面倒を拾い続けるうちに、店の空気も、自分の立場も変わっていきました。
今日できる次の一歩は、今の店の「誰も拾っていない面倒」を1つ書き出すことです。 転職も考えているなら、求人の出方を見ておくと、選べる道が見えやすくなります。
