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毎日同じ人と顔を合わせるだけで、もう疲れてしまいます。

薬局の人間関係は、ほかの仕事と少し違います。逃げ場がないからです。
休憩室に入っても、そこにいるのは同じ顔ぶれ。席を立っても、行き先は調剤室しかありません。
この記事では、少人数の薬局がなぜ息苦しくなるのかを先に整理します。そのうえで、私が薬局長として続けた5つのことを書きます。
明日ひとつだけ変えられる行動が見つかれば、それで十分です。
結論:原因はあなたの性格より「人数の少なさ」
先に結論です。少人数の薬局がしんどいのは、人が悪いからではありません。
原因の多くは、逃げ場がないという構造の側にあります。だから、相手の性格を変えようとしなくて大丈夫です。

相手を変えようとすると、まず自分が疲れます。変えられるのは自分の動きだけですよね。
私が20代で入った薬局も、空気はピリピリしていました。変えたのは、自分の立ち回りだけです。
それでも、店舗の空気は少しずつやわらいでいきました。
しんどさの原因は性格より構造。だから立ち回りだけを変える
少人数の薬局に逃げ場がない3つの理由
なぜ、たった数人の職場がここまで苦しいのでしょうか? 理由は大きく3つあります。
| 理由 | 何が起きるか |
|---|---|
| 席を外せない | 気まずいまま、同じ部屋で半日を過ごす |
| 役割が固定される | 頼みやすい人に、仕事も不満も集まる |
| 代わりがいない | 1人が休むと、残り全員の余裕が消える |
1つ目は、席を外せないことです。大きな職場なら、気まずい相手とは違う日に組めばすみます。
2つ目は、役割が固定されることです。人数が少ないと、頼みやすい人にばかり仕事が寄ります。
3つ目は、代わりがいないことです。誰か1人が休むだけで、残った人の余裕から先に消えます。
うちは3人の薬局です。1人が不機嫌だと、その日はもう終わりです。


分かります。人数が少ないほど、1人の機嫌が職場ぜんぶの天気になりますよね。

逃げ場がないのは、あなたの人間性のせいではありません。人数が少なければ、誰と組んでも摩擦は起きやすくなります。
だから相性の話にする前に、摩擦を減らす工夫のほうが役に立ちます。
苦手な人がいること自体は、めずらしくありません。少ない人数で長い時間を過ごせば、多少ぶつかるのが普通です。
少人数の職場は、相性より「摩擦を減らす工夫」が先に効く
私が入ったのは、肩書きと実力の順番がずれた薬局でした
私は1年目から薬局長(管理薬剤師)を任されました。配属先は、グループで一番売上の大きい門前薬局です。
歓迎の空気はゼロでした。質問をすると「そんなことも知らないんですか」と返ってくる毎日です。
その店舗には、長く現場を支えてきた事務スタッフがいました。薬の置き場所も機械の操作も、私よりずっと詳しい人です。
だから薬剤師の側が、誰も強いことを言えなくなっていました。肩書きの順番と、実際の力の順番がずれていたのです。
うちにも「この人に嫌われたら終わり」という空気があります。

私が選んだのは、機嫌を取ることではありませんでした。腕を素直に尊敬して、頼るところは頼る。
そのうえで、最後の責任は自分が取ると行動で示しました。
3年目の冬、緩衝材になってくれていた人が辞めました。そこから退職が続き、薬剤師は私1人になった時期もあります。
1人欠けるだけで、支え合いの形はあっさり崩れます。人間関係の貯金は、崩れるときは一気です。

あなたの職場は、誰か1人が抜けても回りそうでしょうか?
6年目に別の薬局へ移りました。そこでは5年間、辞める人がほとんど出ませんでした。
長い休みに入る人が出ても、スタッフが知り合いを連れてきてくれる職場になっていました。
職場の空気は、肩書きではなく日々の行動で変わる
摩擦を減らすために私が続けた5つのこと
ここからは、私が続けた5つのことを書きます。順番にも意味があります。
まず相手を知る。次に自分が動く。信頼が貯まってから、みんなの休みに手をつけます。
1. 厳しい人には、理由を聞いてみる
あの人はなぜ厳しいのだろう、と考えたことはありませんか?
厳しい人には、たいてい理由があります。私は普通に話せる関係になってから、思い切って聞いてみました。
「仕事はすごくできるのに、周りにも厳しいのは何か理由があるんですか」。そう聞きました。
返ってきたのは、想像とはまったく違う答えでした。事情そのものはここには書けません。ただ、その日からその人の見え方が変わりました。

人は、受け入れられなくても、理解できたら許せます。私はそう感じています。
聞くときは、責める調子にしないでください。感心している気持ちのまま聞くと、相手も答えやすくなります。
2. 雑務より「空気の摩擦」を拾う
面倒を拾うのは正解です。ただ、拾う場所を間違えると逆効果になります。
私は最初、レジ締めやゴミ捨てを手伝おうとしました。すると「私たちの仕事がなくなります」と止められました。
私が拾うべき本当の面倒は、薬剤師同士の冷たい空気のほうでした。雑務は、すでに事務スタッフが回してくれていました。
拾う面倒の順番
- 1つ目は人と人の摩擦(言いにくいことを代わりに言う)
- 2つ目は誰も引き取らない責任(決めること・謝ること)
- 3つ目が物理的な雑務(相手の仕事を奪わない範囲で)

3. クレームの盾になる
待合室で声が大きくなったら、私は誰より先にカウンターへ出ました。ひたすら頭を下げて、スタッフの前に立ちます。
これは、いい人になるためではありません。この人がいれば大丈夫、と思ってもらうためです。
新人が出ていっても、余計にこじれませんか?


最後の責任は自分が取る、と決めて出れば、こじれにくくなります。怖いのは1回目だけですよ。
うまく収められなくても大丈夫です。前に出た事実だけで、後ろの空気は変わります。
4. 感謝は言葉より行動で返す
ありがとうは、言うだけだと軽く見えます。私は、相手の負担が減る動きで返すようにしました。
忙しい時間に前へ出る。言いにくいことを代わりに言う。手が空いたら先に声をかける。
事務スタッフには、行動で感謝を返し続けました。すると、冷めていた薬剤師の側も少しずつ動くようになりました。
5. 休みは自分から先に取る
当時の薬局は、誰も有給を取ったことのない職場でした。上の立場の人からは「有給を取ると評価が下がるよ」とまで言われました。
それでも、私が先に取りました。すると少しずつ、譲り合って休む人が出てきました。

休みを出しにくいのは、制度そのものより空気の問題かもしれませんね。
「有給を取って大丈夫なんですか」と怖がる声も聞きました。あの言葉を聞いたときは、何とも言えない気持ちになりました。
有給休暇は、労働基準法第39条で決められた制度です。入社から6か月続けて働き、決められた日数の8割以上出ていれば、原則として取れます。
取ったことで不利益な扱いを受けたと感じたら、一人で抱えないでください。
近くの相談窓口は、次の手順で探せます。
- 検索窓に「総合労働相談コーナー 所在地」と入れて検索する
- 厚生労働省のページを開く
- 自分の県の欄から、窓口の場所と電話番号を確かめる
休みは、言葉で勧めても動きません。誰かが先に取って、無事だと見せるのが早道です。
休みも空気も、まず自分が先に動いて見せる
それでも無理なときは、環境を変えていい
ここまで書いておいて何ですが、全部を背負わないでください。
体に出るほど我慢するのは、続ける価値がありません。
辞めたいわけじゃないんです。ただ、しんどいだけで。


その「ただ、しんどい」を軽く見ないでください。逃げ道を1つ持つだけでも、息はしやすくなります。
赤信号のサイン
次のどれかが続いていたら、一度立ち止まってほしいサインです。
- 夜、なかなか眠れない
- 日曜の夕方が怖くなる
- 休憩室に入るのがつらい
眠れない日が続くときは、我慢くらべにしないでください。職場を探すより先に、かかりつけの医師や心療内科に相談するほうが早道です。
産業医がいる職場なら、産業医でもかまいません。
公的な相談窓口もあります。こうすれば見つかります。
- 検索窓に「こころの耳」と入れて検索する
- 厚生労働省の「こころの耳」のサイトを開く
- 働く人の相談窓口の一覧から、相談しやすい方法を選ぶ
環境を変えるのは、逃げではありません。合わない場所で消耗し続けると、あとで取り返すのが大変になることもあります。
すぐ辞める必要はありません。辞めると決めていなくても、外の求人を見ることはできます。
選べる場所がほかにもあると分かるだけで、今の職場の見え方は変わります。
薬剤師専門のところを1社だけ見ておく、くらいで十分です。ここからは広告になりますが、アポプラス薬剤師のようなサービスが、その1社にあたります。
辞めると決めてから動くより、動いてから決めるほうが落ち着きます。残る選択も、選び直した結果なら意味が変わります。
逃げ場を1つ持っておくと、同じ職場でも息がしやすくなる
よくある質問
Q. 苦手な人と、無理に仲良くなるべきですか
仲良くならなくて大丈夫です。必要なのは、仕事が回る距離まで近づくことだけです。
相手の得意なことを認めて、頼るところは頼る。それだけで現場はずいぶん軽くなります。
Q. 「理由を聞く」のが怖いです
いきなり核心を聞かなくて大丈夫です。まず、その人の得意なことを教わるところから始めてください。
何度か普通に話せるようになってからで遅くありません。私も、聞けるまでに時間がかかりました。
Q. 新人の私が動いても、変わらない気がします
私も1年目は同じように思っていました。でも、新人だからこそ拾える面倒があります。
誰もやりたがらない役を引き受ける人は、立場と関係なく見られています。
まとめ:明日やることは1つでいい
- 少人数の薬局がしんどいのは、性格より構造の話
- 変えるのは相手ではなく、自分の立ち回り
- 厳しい人には理由を聞く・摩擦を拾う・盾になる・行動で返す・先に休む
- それでも無理なら、環境を変えていい

5つ全部はいりません。明日やるのは1つだけで大丈夫ですよ。
1つ選ぶなら、いちばん厳しい人の得意なことを教わることです。質問は、相手を認める行為でもあります。
職場を変える選択も、頭の隅に置いておいてください。求人の出方だけ先に見ておきたい人は、こちらから確かめられます。
人間関係は、明日の小さな行動からしか変わらない
この記事は私自身の経験をもとにした整理です。職場の事情はそれぞれ違います
