この記事にはプロモーション(広告)が含まれます。
未経験の事務さんが入ったけど、何から教えればいいのか分からなくて。結局、全部自分でやっちゃうんです。

新しい事務さんが入ると、うれしい反面、少し不安になりませんか? 調剤もしながら教えるのは、正直かなり大変ですよね。
この記事では、未経験の医療事務スタッフを育てる方法が分かります。 教える順番、マニュアルの作り方、仕事の任せ方の3つです。
私は堀口 健(Ken)です。1年目から薬局の管理職(管理薬剤師)を10年。 転職した先の薬局には、未経験の事務さんが多くいました。
そこで薬局の仕組みを根本から見直し、作り直しました。 8年目には、私がいなくても業務が回るまでになりました。
未経験の医療事務を育てる方法の結論|順番・紙・任せ方
先に結論です。人を変えるより、教える仕組みを変える。
未経験の人が育つかどうかは、本人のやる気だけでは決まりません。 「何を・どの順番で・どこまで任せるか」が決まっていると、覚えるのがぐっと楽になります。
| 決めておくこと | 中身 |
|---|---|
| 教える順番 | 毎日ある仕事から。むずかしい仕事は後に回す |
| 書いた形 | 口で言ったことを、1枚の紙に残す |
| 任せ方 | 見せる→一緒に→見守る→任せる、の4段で渡す |
| 教える側の態度 | 質問しやすい空気と、できた所への「ありがとう」 |
仕組みって言われても、忙しくて作る時間がないです……。


最初から全部はいりません。今日教えたことを1枚に書く。それだけで始められます。
私が見てきた「見て覚えろ」と「仕組みで回る」の2つの薬局
私は、教え方がまるで違う2つの薬局を経験しました。 その差が、この記事の土台になっています。
1社目は、マニュアルが無い「見て覚えろ」の薬局でした
新卒で配属された薬局には、マニュアルがありませんでした。 完全に「見て覚えろ」のスタイルです。
忙しく動く先輩に質問すると、冷たい言葉が返ってきました。 「管理薬剤師なのに、そんなことも知らないんですか?」と。
正直、心が折れそうでした。 私は薬の置き場所や機械の使い方をメモし、家で毎日復習しました。

教わる側のつらさは、自分で味わいました。今ふり返っても、新人にあの態度は厳しすぎますね。
処方せんのコピーに書き込む仕組みで、新人が早く覚えた
その1社目で、薬を集める時のルールが無く、記憶に頼っていたことがあります。 そこで、すべての処方せんのコピーを取り、細かく書き込むようにしました。
書いたのは、こんなことです。
- 似た名前の薬の注意
- 確認した人の名前
- 一包化の時の、手で入れる分の印
- 予製の時に集める錠数
これで取り違えと、探す時間が減りました。 新人も早く覚えるようになり、スタッフが言葉を書き合ってミスも減りました。

転職後の薬局では、仕組みを根本から作り直した
6年目に転職した薬局の課題は、スタッフの教育でした。 未経験の医療事務スタッフが多く、薬局の仕組みを見直すのが私の役目です。
時間はかかりました。でも8年目には、事務さんたちがかなり慣れてくれました。 「ほりけんさん、ゆっくり休んでてください」と言われるほどです。
おかげで私は、患者さんと話す時間をたっぷり取れるようになりました。 育てる時間は、あとで自分の時間になって返ってくる。
未経験の事務さんがつまずきやすい3つの所
教え方を考える前に、つまずく所を知っておくと楽です。 未経験の人は、次の3つで止まりやすいです。
- 覚えることが一度に多すぎる(受付・入力・会計・電話が同時に来る)
- なぜそうするのかが分からない(理由が無いと、少し違う場面で応用できない)
- 質問していいのか分からない(忙しそうな薬剤師に声をかけにくい)
どれも、本人の能力の問題ではありません。 教える側の「順番」「説明」「空気」で、かなり小さくできます。
うちの事務さん、聞いてくれないから分かってると思ってました。


聞かないのは「分かった」ではなく「聞けなかった」かもしれません。冷たく返される職場なら、なおさらです。

教える順番|毎日ある仕事から、むずかしい仕事へ
教える順番は、毎日くり返す仕事から始めるのがおすすめです。 くり返す仕事は、手が覚えるのも早いからです。
逆に、月に1回しか来ない仕事を最初に教えても、次に来た時には忘れています。 あなたの薬局では、何から教えていますか?
| 段階 | 教える仕事の例 | ねらい |
|---|---|---|
| 1週目 | あいさつ・薬局の中の案内・物の置き場所 | 職場に慣れる |
| 2〜4週目 | 受付・処方せんの受け取り・入力の基本 | 毎日の流れをつかむ |
| 2か月目ごろ | 会計・電話の受け方・よくある質問への答え方 | 患者さんの前で動ける |
| その先 | 月末の請求の準備・在庫や発注の手伝い | 薬局全体を支える |
※期間は目安です。人と薬局の忙しさで変わります。
段階を飛ばさないのがコツです。 1つできたら次へ。できた所は、その場で言葉にして伝えます。
薬剤師以外のスタッフにどこまで任せてよいかは、厚生労働省の通知「調剤業務のあり方について」(2019年)で考え方が示されています。任せる前に一度目を通しておくと安心です。
通知は、次の手順でネットで読めます。
- 「調剤業務のあり方について 厚生労働省」で検索する
- 厚生労働省のサイトにある通知のPDFを開く
- command+F(Windows は Ctrl+F)で「薬剤師以外の者」を探す
判断に迷う時は、薬局のある都道府県の薬務の担当課や、保健所に相談してください。
マニュアルは「完璧な本」より「1枚の紙」から始める
マニュアルと聞くと、分厚い本を想像しませんか? でも、作る前に力尽きてしまうことが多いです。
おすすめは、今日教えたことを1枚に書くことです。 1つの仕事につき1枚。これを少しずつ増やしていきます。
1枚に書く4つのこと
- 何をするか(仕事の名前と、始まりと終わり)
- 手順(番号を付けて、1行に1つの動き)
- なぜそうするか(理由を1行だけ)
- 困った時に聞く人(名前でなく「その日の薬剤師」などの役割で)
実は、理由の1行がいちばん大事です。 理由が分かると、少し違う場面でも自分で考えられるようになるからです。
書くのは、教わった本人に任せてもいい
教わった本人に書いてもらい、教えた側が確かめる形もあります。 書くことで、本人の頭の中も整理されます。
それに、新人の目で書いた紙は、次の新人にとって分かりやすいです。 1社目の処方せんのコピーも、みんなで書き合うことで育っていきました。

1枚のマニュアルの始め方
- 今日教えた仕事を1つ選ぶ
- 手順・理由・聞く人の3つを書く
- 次に教える時、その紙を見ながら教える
任せ方|見せる→一緒に→見守る→任せるの4段
教えたつもりでも、急に「はい、やってみて」では不安ですよね。 任せる時は、4つの段を順に上がると安心です。
| 段 | 教える側 | 教わる側 |
|---|---|---|
| 1. 見せる | やって見せながら、理由を話す | 見てメモを取る |
| 2. 一緒に | 横で手を添えながら一緒にやる | 手を動かしてみる |
| 3. 見守る | 近くで見て、終わったら確かめる | 1人でやってみる |
| 4. 任せる | 結果だけを確かめる | 1人でやり切る |
段は戻ってもいい。ミスが続いたら、1つ前の段に戻ります。 それは失敗ではなく、確かめ直しです。
任せたあとにミスが出たら、やっぱり自分でやった方が早いって思っちゃいます。


その気持ち、すごく分かります。でもそこで取り上げると、ずっと自分が抱えることになります。
自分でやった方が早いのは、今日だけの話です。 半年後の自分を楽にするのは、今日任せた1つの仕事です。

教える側の態度|質問しやすい空気と「ありがとう」
仕組みと同じくらい大事なのが、教える側の態度です。 聞いていい空気があるだけで、覚える早さは変わります。
私は1年目から、スタッフのいいところを口に出すことを続けてきました。 感謝を先に伝える。これは、1社目で薬剤師が自分1人になった後も変えませんでした。
薬剤師と事務は、役割が違うだけです。 「先生」と呼ばれても、威張っていい理由にはなりません。

私も1年目は、挨拶がうるさいと注意された新人でした(笑)。教わる側の気持ちは忘れたくないですね。
質問しやすくするための小さな工夫
- 「何か分からない所ある?」ではなく「今日の受付で迷った所は?」と具体的に聞く
- 同じことを2回聞かれても、ため息をつかない
- 忙しくて答えられない時は「あとで答えるね」と時間を約束する
- 1日の終わりに、できた所を1つ言葉にして伝える
教える側の機嫌が、職場の空気を決めます。 忙しい日ほど、ここを意識しておきたいところです。

よくある質問
教える時間がまったく取れません。どうすればいいですか?
まずは、今日教えたことを1枚の紙に書くだけで十分です。 紙が増えるほど、次に教える時間が短くなります。
ベテランの事務さんに教育をお願いしてもいいですか?
お願いしてかまいません。ただ、教える順番と1枚の紙は、薬剤師が一緒に決めておくと安心です。 教える人によって言うことが違うと、新人は迷ってしまいます。
何度教えても同じミスをする時は?
本人を責める前に、手順の紙と任せ方の段を見直してみてください。 1つ前の段に戻って、理由をもう一度伝えると直ることがあります。
まとめ|育てた時間は、あとで自分を楽にする
未経験の医療事務を育てる方法は、3つにまとめられます。
- 教える順番: 毎日ある仕事から
- マニュアル: 今日教えたことを1枚の紙に
- 任せ方: 見せる→一緒に→見守る→任せる
私自身、未経験の事務さんが多い薬局で仕組みを作り直し、8年目には私がいなくても業務が回る薬局になりました。 上の3つは、どの薬局でも始めやすい形にまとめた教え方の型です。
育てるのは時間がかかります。焦らなくて大丈夫です。 今日教えた仕事を1つ、1枚の紙に書いてみてください。
